2022年10月9日午前10時から12時に、伊奈川ダムから空木岳に向かう登山道にて144MHz帯の通信実験を行った。実験の目的は、携帯電話の通信圏外にてアマチュア無線通信が通信手段として利用することが可能か、特に山岳遭難などの緊急事態が発生する登山道で確認することにある。
今回の実験は空木岳登山道にて行った。以下が今回実験を行った登山道の地図で、実験結果として、それぞれの地点の144.54MHzにおけるRS(信号明瞭度と信号強度)を記載している。青字はその地点が携帯電話圏外、オレンジ字は携帯電話圏内を表している。
144.54MHzでの通信相手となるJR0ZFE-ND4ノードは大桑村野尻の野尻駅から見た木曽川対岸(川向地区)に設置されている。以下の地図はJR0ZFE-ND4ノードと今回の実験を行った金沢土場、うさぎ平の位置関係を示している。これらの地点は木曽川から見て糸瀬山の裏側の谷間にあり、木曽川流域の町部からの電波が届き難い場所であることが分かる。
金沢土場(四合目)とうさぎ平(林道から登山道への入り口)にはそれぞれ道標がある。通信実験はこの道標の前で実施した。
金沢土場およびうさぎ平ともに144.54MHzで稼働しているWIRES-X JR0ZFE-ND4ノードとの通信を行う事ができた。これらの現場での無線運用は以下の機材で行った。
トランシーバー:Yaesu FT-70D ハンディトランシーバー、送信出力5W
アンテナ:DIAMOND SRH-770(FT-70Dに直付け)
JR0ZFE-ND4ノードの電波はそれぞれの場所で以下のシグナル強度で受信し(RS=59がシグナル強度最大レベル)、かなりの余裕を持って通信できることが確認できた。
金沢土場:RS=57
うさぎ平:RS=57
これらの地点では、少なくとも上記実験実施時において持参した携帯電話(NTT Docomo)は圏外となり使用不能であった。このことから、これらの地点ではアマチュア無線は広域通信(WIRES-Xによるインターネット通信)が可能な唯一の通信手段として非常時等には重要な役割を担う事が期待される。
参考データとして、六合目手前の尾根上(眺望良し)ではJR0ZFE-ND4ノードの電波はRS=59で受信された。但し、この地点は見通しあるだけあってNTT Docomoの電波も届いてた。一方、六合目は川筋であり谷間の為、持参したトランシーバーとJR0ZFE-ND4ノードとの通信も確認出来なかった。
以上
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